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第19回全日本大会特別企画 
 
 

 トップランナー 山本 愛美 編


(第19回全日本大会敢闘賞/女子マッソギミドル級準優勝/団体女子トゥル・マッソギ第3位)

  
ミズ ケンジ)
戦う女性は美しい

才色兼備プラス

強的なニューヒロイン


有級者時代、出場大会は全て優勝(写真2005.5 ASC大会 MVP受賞)

全日本大会出場2回目で敢闘賞受賞!

マッソギ 戦闘モードに入る(赤木美千子選手と)


アグレッシブな試合で観る者を魅了する山本愛美選手
東東京Bチームとして女子団体戦に出場

52回昇段審査にて目標の黒帯を取得(2008.1)

山本愛美は、笑顔のステキな女性である。街中で見る彼女はとても華やかで、服装のセンスやスタイルの良さを見ると、ファッション誌を飾るモデルのようだ。普段の彼女から、テコンドーの試合で見せる勇姿を想像することはかなり難しい。

彼女はまた家庭を守る主婦でもあり、仕事を持つキャリアウーマンでもある。家庭と仕事を両立させるだけでも大変だというのに、彼女の場合、それプラス「テコンドーの生活」がある。それも選手としての山本愛美を努めなければならないとしたら、相当ハードな状況が続いているはずだ。

「でも、好きなことをさせてもらっていますから。主人には申し訳ないと思っていますが、私のほうはむしろとても充実しているんです。応援してくれる家族のみんなには、本当に心から感謝しています」

大きな瞳を輝かせながら、彼女は、はにかむようにして笑う。

周囲の支えに感謝し、彼女はできる限りのことをしようと心に決めている。練習がある日も、彼女は欠かさず家族のために料理を作る。料理が得意で、家庭のこともテキパキとこなし、周囲への気遣いや配慮も忘れない。豪快且つ繊細さを兼ね備え、仕事でも着実にキャリアアップし、テコンドーでも全力投球する。まさに彼女はスーパーウーマン。この特別企画「トップランナー」のラストを飾る人物に相応しい。

テコンドーをしているときの彼女は、本当に強くて、勇敢なる女戦士のようだ。アグレッシブな彼女の試合を見て、ファンになった人も多いだろう。それとは対照的に、普段着の彼女はとても女性的で、そのギャップが彼女の魅力でもあるのだ。

山本愛美は24歳のときにテコンドーと出会った。商社の貿易部で輸出業務をテキパキとこなし、スノーボードを趣味とするアクティブなキャリアウーマンであった。以前より興味をもっていた格闘技を習得したいと思い、キックボクシングなどいくつかの候補を見学した。その中にテコンドーがあった。女性会員が多く、アットホームな雰囲気の綾瀬道場が一目で気に入った彼女は、すぐに入会した。

彼女の好きな練習はミット蹴りとマッソギ。女性の多くは、少なからずマッソギの練習に苦手意識を持っているものだが、彼女は違っていた。入門当初からマッソギ派で、男子に混じり、ミット目がけて力強く蹴るところなどは新人離れしていたという。

「私って小さいころから怖いもの知らずだったんですよ。高い所も平気で登ってジャンプしてみたり、男の子と喧嘩したり。危険なことも平気で楽しんでしまうタイプの子供で、男の子が遊ぶようなことばかりしていました」

山本愛美の活躍はめざましく、大会でも早い時期から頭角を現していた。色帯時代に出場したマッソギの試合は、すべて全勝をマーク。その数は二桁に上り、彼女の強さは群を抜いていた。

しかし、彼女は初めての敗戦を経験する。赤帯のときに初出場した第18回全日本大会決勝で、彼女はチャンピオン峰間照美に敗れた。初めて味わう敗北感。負けず嫌いな彼女は、その日、誰もいない更衣室でひとり泣いた。

次はきっと勝ってみせる。彼女はそう胸に誓い、一年間必死な思いで練習した。チャンピオン対策としてビデオなどで研究し、イメージトレーニングにも取り組み、対応への幅を広げることにも力を入れた。

「でもダメでした。やはり相手は全日本チャンピオン。自分の試合をさせてもらえませんでした」

先手必勝タイプの彼女に対し、チャンピオンはさらなる先手必勝で彼女の攻撃を封じ込めた。予想外の展開。またもや同じ相手に敗れたことに、目標を達成できなかったことに、彼女は自分自身に対する憤りを感じた。悔しさが込み上げ、その瞬間に泣き場所を探していた。誰にも泣き顔は見せたくない。しかし、以心伝心というものだろうか。会場のロビーで、応援に来ていたご主人に遭遇した。声をかけられた瞬間、彼女は泣き崩れた。

「勢いや身体能力だけでは敵わない。もっと技術を身につけないと……。自分のスタイルを確立しなければならないと思いました」

しかし、この大会で山本は敢闘賞を受賞した。名前が呼ばれた瞬間、彼女はまるでキツネにつままれたように、状況が把握できなかったという。

「本当に驚きました。まさか私が敢闘賞だなんて……。優勝もしていないし、自分としては満足できない内容でしたし。勿論ステキなご褒美をいただいて本当に嬉しいですよ。これはきっとボーナスの前借りみたいなものかな(笑)。これから行くアジア大会で頑張りなさい、これからもっと励みなさいというエールだと思っています」
ボーナスの前借りとは、まったくユニークな表現だ。

彼女が言うように、今回は金メダルこそなかったが、「敢闘賞」に相応しい試合内容だったことだけは確かである。特にマッソギは、個人・団体ともに男子に劣らぬアグレッシブな内容で、彼女は試合を大いに盛り上げた立役者のひとりだった。彼女の敢闘ぶりが、まさに評価された結果の「敢闘賞」。彼女の将来性への期待が込められた結果だろう。

戦うことをまったく躊躇しない本能、そして圧力に屈しない勇気。それが選手、山本愛美の際立った点である。技術的には荒削りな部分もあるが、これは意識と努力次第で克服できる。彼女の闘争本能には突き抜けたものがある。そこに選手としての大きな可能性が秘められているのだ。


  第4回アジア大会 日本代表選手に選出、初の国際大会に参戦

有級者時代、男顔負けのスタイルで頭角を現した山本選手
道場練習を終えて 厳斗一師範と



全日本大会 チャンピオンたちと

 ※写真協力
  チャンプ(井上英祐) / ジャンニ・ジョスエ / 宮本哲平 / 角田由紀
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