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8回ジュニア・第3回ベテラン世界大会応援企画

Special  Interview Part2

9月15日よりウズベキスタン・タシケントにて開催される第8回ジュニア・第3回ベテラン世界テコンドー選手権大会に向けて、毎週日曜日選手強化練習が行われています。
それぞれの思いを胸に世界の舞台へチャレンジする選手たち。彼らの熱気に満ちた練習場にお邪魔し、原海輝選手(ジュニア代表)、椿順子選手(ベテラン代表)にお話をうかがいました。ミズ ケンジ)

自分が望めば、

いつでも扉は開ける


椿 順子(ツバキ ジュンコ)

44歳/東京綾瀬道場/2段

世界ベテラン日本代表

参加種目
・個人女子マッソギ−54kg級
・個人女子トゥル2段


国際大会 過去戦績

2回世界ベテラン大会(2006年) 
・個人女子トゥル1段優勝
・個人女子マッソギ−54kg級優勝

前回の世界ベテラン大会では初出場ながら、トゥル、マッソギでダブル優勝し、快進撃を見せた椿順子選手。今年は全日本チャンピオンに輝くなど、幸先の良いスタートを切りました。
世界連覇という大きな目標に向かい、新たな挑戦が始まっています。

年を重ねるごとに体力向上

成功は、地道な努力なしには得られない


「自分でも驚くくらい体力が向上している」と語る椿選手

世界連覇を目指し、強化練習で汗を流す椿選手


二年前、第2回世界ベテラン大会(2006.ブルガリア)に
初出場。トゥル、マッソギの二冠に輝いた感動的な瞬間


今までの努力が報われ、心からガッツポーズをとる椿選手
(2006.ブルガリア 第2回世界ベテラン大会)

第15回世界大会(2007年 スロベニア)女子団体マッソギに出場し、気迫のこもった好試合を見せてくれた
第15回世界大会(2007年 スロベニア)では、女子
団体トゥルで銀メダルを獲得! 強化練習を通して
絆が深まった仲間たちとの勝利に嬉しさもひとしお

仲間との楽しい想い出が詰まった第15回世界大会

−前回の世界ベテラン大会ではトゥル、マッソギで二冠に輝き、忘れられない大会になったと思います。この優勝はご自身に何をもたらしてくれましたか。

椿 自信がつきました。諦めずに努力することの大切さを改めて感じさせてくれた大会だったと思います。

−前回の大会では印象深かった国や選手はいましたか。

椿 カナダの選手です。技術的には他の国のほうが強かったけれど、試合を本当に楽しんでいる様子が印象的でした。

−椿選手は世界大会にも出場されていますが、強豪国選手たちの試合を見て感じることは?

椿 心構えが違うと思います。国の代表だという誇りや自覚が彼らには備わっていると思います。

−日本は自覚が足りない?

椿 決してそうではないのですが、国と個人という意識の違いでしょうか。勝ちたいという思いはみんな同じなんですけれど。

−国際大会は今回で何回目の出場になりますか。

椿 4回目です。初めて出場したのがオーストラリアで開催された第14回世界大会です。

−国際大会へ参加することでどのような点がプラスになっていますか。

椿 世界のレベルを目の当たりにし、自分の視野が広がって新しいことに挑戦したくなりますね。テコンドーに関してだけでなく、私の場合は「英語が話せるようになりたい!」と真剣に思うようになりました。

あと、大会に参加する以上に、たとえば強化練習だとか、大会に出るまでの過程が自分を大きく成長させてくれると思います。

たとえば、どのような成長ですか。

椿 意外だと思われますけど、体力がかなり向上しました。年齢を重ねる分、体力は落ちるものだと思ってきましたが、年々身体が強化されていることを実感しています。もともと身体能力が高いほうではないのですが、違う部分で補われているようです。

−年を重ねるごとに体力が向上するって、すごいことですよね。その秘訣は?

椿 本当に基本的なことです。ランニングや筋力運動を毎日コツコツと。あと、プラスアルファでいうと、チューブを使ったトレーニング。バランス力を強化する運動としておススメです。特にこの成果はトゥルに活かせますね。このような基礎体力トレーニングの積み重ねのおかげで筋力が強化され、スピードも以前に比べ、数段上がったと思います。体の管理としては、食事の栄養バランスや睡眠に気を配っているのと、平均7時間くらいは睡眠をとるように心がけていますね。

−そういえば、今年の全日本大会では階級をひとつ下げましたね。何kg減量したのですか。

椿 7kgです。

−体力的に影響ありませんでしたか。

椿 その点はかなり注意しましたね。自分の身体に無理のない方法で取り組みました。昨年の10月末からスタートして、約4ヶ月で51.5kgあった体重を44.2kgに落としました。

−うぁ〜、わずか4ヶ月で7kg減に成功とは!どんな方法で行ったんですか?

椿 私の場合は、納豆がポイントでした。それまで納豆が苦手で食べられなかったのですが、タンパク源として納豆は良質の食べ物なので、勇気を出してチャレンジしました。食べる時間帯は夕食時。練習のあとに良質のたんぱく質を摂取することがポイント。効果ありますよ。減量中の私の身体を支えてくれたのは納豆と言っても過言ではないかな(笑)。おかげさまで、今では納豆が好物になりました。

あと、身体を動かすエネルギー源となる炭水化物はきっちり取り、ただ、油分だけはとらないように注意しました。それに甘いものも。でも食べたいときはちゃんと食べましたよ。そんなときは和菓子がおススメです。栄養バランスを考えた食事を三食きちんと食べて、運動を取り入れる。私の場合、この方法でうまくいきました。

ただ、ここでひとこと言いたいんですけれど、必要以上に無理な減量はしないほうがいいと思うんです。必要に迫られない限り、減量はしなくていい。その人、その人の自然体でいいんじゃないでしょうか。それぞれのベスト体重ってあると思うんです。心も体も健康で、元気でいられる。そんな状態がやっぱりベスト。もちろんメタボは注意しなくちゃいけないけれど。(笑)

−うぁ、心にズキン!肝に命じます(笑)。

試行錯誤の中から得た自信

指導者の自覚が強さとなって


第3回世界ベテラン大会ではトゥル2段の試合に臨む。
大会連覇に向けて、練習に余念がない椿選手

毎週行われている大会強化練習の風景のワンシーン。
全員一心に練習している姿に目を奪われる

前回に続き、今大会でも共に世界へチャレンジする
田部勝巳副師範とウィアム・トゥルの練習を行う

恩師である厳斗一師範の雑誌特集に登場。華麗な
フォームを披露(月刊フルコンタクトカラテ2007年7月号)

−メンタル面での質問です。モチベーションはどうやって維持しているのですか。

椿 特に心がけていることはないんです。ただ、指導員としての立場がそうさせるのか、帯が下の練習生たちに絶対負けられないという気持ちや彼らの手本となってリードできるようになりたいという思いが日増しに強くなっています。それがモチベーションを支えている源にもなっているのではないでしょうか。

−前回取材させていただいたとき、指導員としての役割が大きくなるにつれて、自分の練習時間が減り不安を感じていた時期もあったとおっしゃっていましたが、現在はどうですか。

椿 そのあたりの切り替えはうまくなったと思います。時間配分、時間の使い方が上手になり、指導時間の前後や僅か空き時間も有効活用できるようになりました。どういう状況でも人間、やろうと思えばできるんですね。現にそうやっている人たちがたくさんいますから。こう思えるのも心にゆとりができたからだと思えます。

−試行錯誤の過程を通らなければ、ゆとりって、持てないものですよね。では、生徒を指導するにあたり心がけていることは?

椿 こちらがやりたいことをやらせるのではなく、みんなが何を望んでいるのかを考えるようにしています。試合で勝ちたいのか、楽しんで気持ちよく練習したいのか、それぞれの目的にあった指導を心がけています。

子供たちに関しては、何より礼儀を重んじてほしい。挨拶や返事をきちんとすること。こういう何でもないことができない子供、案外多いんですよ。  

−礼にはじまり、礼に終わる。テコンドーの五つの精神でもトップに掲げられていますよね。ところで、女性指導員ならではの悩みというものはありますか?

椿 力が弱いことでしょうか。あと、小さいこと(苦笑)。私が思いっきり蹴っても、体験に来た男性の方がはるかに力強い、なんてよくあることです(笑)。でも、練習の仕方はいくらでもあるし、特に女性だからっていう悩みはないです。

 目標とする存在はいますか。

椿 厳斗一師範、黄秀一師範です。お二人とも、技術・指導力・人間性etc、全てがすごい。私如きが人間性云々と言うのも失礼ですが……。お二人ともどんなに大勢の人がいても、ちゃんと一人ひとりを見ていますよね。
うまく言えないのですが、厳師範と出会わなければ、私はテコンドーをやっていなかったかもしれない。そしてここまで続かなかったかもしれない。
また、黄師範に教えていただいたおかげで、世界大会にまで行けるようになりました。
私には、あまりにも影響力が強すぎです!

超多忙なアクティブウーマン

夢は“達人おばあちゃん”になること


大会では審判として大活躍の椿さん
(2008.8 東京・府中 第12回東京都大会)


真剣な表情。颯爽とした姿が本当にステキです!

第12回東京都大会で活躍した審判団の集合写真

2008年3月に開催された第19回全日本大会では、女子マッソギマイクロ級で優勝、女子トゥル2段では第3位に輝いた

椿選手はエアロビクスのインストラクターのお仕事もされているわけですが、テコンドーの指導と家庭のことと、毎日が大変お忙しいと思います。一日のスケジュールはどうなっているのですか。

椿 だいたい朝起きて洗濯をして、時間があればメールのやりとりや事務的なことをこなし、夕食の下準備をします。

それから仕事(インストラクター)に行き、レッスンを1、2本行ってから、電車で移動して道場へ向かいます。その途中で昼食をとることも。移動中はipodで英会話や音楽を聴きながら、午後4時頃道場に到着して、少年部・成年部の指導。終了は10時、帰宅は11時近くになります。それから夕食をとり、お風呂、歯磨きの順で就寝です。

 −本当にハードなスケジュールですね。休日がことさら貴重でしょう。

椿 最近は丸一日休める日が数えるほどしかないのですが、そういう日は、まず掃除しますね。普段あまりやらないので(汗)結構徹底的に! 

−貴重な休みを掃除で費やすとは! 身体が休まらないじゃないですか。

椿 でも掃除が結構気分転換になってるんですよ。不必要なものをドーッと捨てちゃうと本当にスッキリする!

−今、充実していますか。

椿 はい。今までの人生で一番充実しています。でも、10年後はもっと充実して、そして楽しいと思います。20歳になった時も、30歳になった時も、そう思ってました。今が一番幸せだけど、10年後はもっと幸せになる、と。

40代の今だからこそ、感じることは?

椿 何歳になっても、自分が望めば新しいことに挑戦しつづけられる。「試練は乗り越えられる人にしか訪れない」というのが私の座右の銘なんです。

−椿選手は実年齢よりもとても若く見られると思いますが、若さを保つ秘訣をぜひ!

椿 うわっ。これが一番の難問かも。少しは若く見られますが……。人に言えるものなど何もないです。強いて言うなら、自分の年齢を忘れることでしょうか。社会的なルールの上ではしっかり自覚しておかなくてはならないですが……。
それ以外では、「この歳では無理だろう」とか「いい歳をしてこんなことやったらいけない」とか考えない。あとは年齢を言い訳にしないこと、かな。
 ほんとは、エステとか、何とか式マッサージとか、いろいろやって、フカヒレとかスッポンとかコラーゲンたっぷりのお食事をしてみたいのですが、そんな余裕もないので(笑)、気持ちだけでも若くいたいなぁ、と思っています。
実年齢よりちょっとだけ若いつもり、くらいがちょうどいいんじゃないでしょうか。

−新しいことにチャレンジし、現在進行形で活躍している椿選手からぜひ、女性たちにメッセージをください。

椿 女性の場合、多くの方が結婚、出産を機に、仕事や取り組んできたことをやめざるを得ない状況になりますが、私はブランクがあっても、また続けられると思います。女性って子供を産むと身体的にも精神的にもすごく強くなるんですよ。だからその強さがあれば、どんなことも乗り越えられると思いますね。
私の場合は、テコンドーをずっとやっていきたいですね。年齢に応じたやり方ってあると思うんです。たとえ選手を引退しても、今度は教え子たちを育て、いつか国際大会へ出場させたい。それも喜びのひとつです。
将来は、“テコンドーの達人おばあちゃん”になることが夢かな。

−うぁ〜、ステキですね。“達人おばあちゃん”って。今というこのときを精一杯生きている椿選手なら、きっと達人にだってなれると思いますよ。
世界ベテラン大会、楽しんできてくださいね。朗報を期待しています!

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