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16回世界大会 特別企画

Special  Interview Part 3



16回世界テコンドー選手権大会

トゥル2段 第三位 
柴田 彰

       (シバタ・アキラ)

24歳/2段/指導員/取手道場

テコンドー歴/8年半

−国際大会主な戦績
2009年 第16回世界大会 トゥル三位

2006年 第3回アジア大会 
団体トゥル 優勝 団体マッソギ 準優勝   

−全日本大会主な戦績
2006年〜2008年 第17回〜第19回全日本大会
トゥル1段 3連覇

2007年 第18回全日本大会 
マッソギマイクロ級 第3位

2008年 第19回全日本大会
マッソギマイクロ級 優勝
 
2009年 第20回全日本大会
トゥル2段 優勝  マッソギマイクロ級 優勝


柴田彰にある種の華やかさを感じるのは筆者だけではないだろう。

有言実行。予測のつかないことをやってのけるバイタリティーが、彼には備わっているようだ。

それは、彼がかなり速いペースで成長し、結果を出していること、国際大会を含め、海外経験が豊富なこと、そして私生活では今年初めに世界一周の旅を敢行するなど、いったん決意し、チャレンジしたことの殆が現実として成し遂げられている点からも理解できよう。

彼のバイタリティーは止まることなく、またひとつ実を結んだ。約半年前に行った全日本大会インタビューの席で彼が発言した「世界での入賞」という目標を鮮やかにクリアしたのだ。

着実に世界の頂上へ向かっている。次は「優勝」という文字が彼の頭の中に刻まれているであろう。二年後、有言実行を再び果たすため、柴田はすでに始動している。

世界でも柴田マジック

世界の大舞台で殊勲の銅メダルを獲得した柴田彰選手
(2009年10月 ロシア 第16回世界大会)

力強さ、技の切れなど、全てにおいて最高の試合を見せ、前大会で準優勝した強豪を下す(2回戦 VSタジギスタン)

準決勝戦、宿敵、朝鮮を相手に善戦する

準決勝戦の判定を待つ。3回目となる挑戦で夢たたれ、次回の勝負に賭ける(対戦者の朝鮮は決勝を制し、優勝する)

トゥル2段表彰式にて。次回の世界大会では中央のお立ち台で微笑んでいることを期待したい

今大会で輝いたITF−JAPANメダリストたち

恩師の戸島皇継師範と喜びを分かち合う

マッソギでは反省点とともに、新たな課題が見つかった

TF−JAPAN初出場のセルフディフェンス・ルーティーンに出場。高い身体能力を発揮し、悪役を見事に演じきる

約束を守りましたね。今年3月のインタビューで世界大会での入賞を宣言され、トゥル2段で銅メダルを獲得されました。またひとつ有言実行を証明した今のお気持ちは。

大きな国際大会でメダルを獲得できたのは今回が初めてなので、大変嬉しいです。

世界大会出場2回目とは思えない堂々たる戦いぶりでした。イメージ通りの試合ができましたか。

そうですね。納得のいく試合ができました。

今回のポイントは2回戦にあったと思います。1回戦はシードだったため、自分にとっては実質初戦でした。対戦者は前大会で準優勝を飾ったタジギスタンの選手で、ここで勝てたことが大きかったと思います。

ヘビー級クラスの大柄な選手でしたよね。柴田選手と並ぶと彼が一層大きく見えました(笑)。しかし、力強さ、技の切れでは負けてなかった。二回戦にして決勝戦なみの緊迫した試合内容で、大変見応えがありました。それからは、水を得た魚のように、勢いに乗じてイングランド、マレーシアに完勝。準決勝でいよいよ強豪国、朝鮮を迎えたのですね。

できれば朝鮮とは決勝戦で当たりたかったです。
朝鮮の選手に負けるのは今回で3回目となります。第3回、第4回アジア大会で敗れ、悔しい思いをしてたので、今度こそ絶対に勝つと強く念じて臨んだのですが。もう負け飽きましたね(笑)。

やはり朝鮮の壁は厚かった?

正直言えば、国際大会初出場のときから、朝鮮の壁、世界の壁を感じたことはないんですよ。特にトゥルに関しては、日本の実力としては世界トップクラスであり、大差はないと思っていますから。初出場のときからトーナメントではなく総当たり戦だったら、毎回確実に入賞はしている自信はありました。

むしろ今回の大会で、自分が世界に近づいているということを改めて確信しました。

頼もしい発言ですね。それを裏付けるかのように、柴田選手のトゥルは日を追うごとにどんどん磨かれていると思います。今回ヘビー級で優勝したタジギスタンのダリル・サイフィディノフ選手はじめ、強豪国の選手たちが柴田選手のトゥルを称賛していました。

世界のトップクラスの選手にそのように言っていただけるのは大変光栄ですよね。

いまは自分の目標とするトゥルが着実に身についていると実感しています。さらに練習を積んで、二年後は最高の試合をしたいですね。
ズバリ次回の目標をあげますと?

トゥルでは優勝を、マッソギでは入賞を目指します。

柴田選手の話を聞いていると、二年後は必ず最高の舞台になると、周囲も期待してしまうんですよ。これが「柴田マジック」というものなのでしょうか。不思議なパワーですよね。有限実行、決意してことは必ずやり遂げる。そのパワーの源は自分に対する自信なのではないでしょうか。

そうですね。何かをはじめるとき、目標を立てるときは、最後までやり遂げる自分がイメージできます。もちろん、ボクだって人間、全てがパーフェクトというわけにはいきません。でも好きなことに対しては集中力あるんですよ。

テコンドーで言えば、研究と練習。この点の集中力には自信があります。

それこそ、白帯時代から自分が上手いと思う選手の練習、試合はよくチェックしていました。そして練習で真似て、完璧に真似ができる段階になったら、試行錯誤を繰り返しながら自分のスタイルを確立していく。

ただ、スタイルができても、そこに高いレベルでの創意工夫と充実した練習量を継続的に補わないことには、世界にはとても太刀打ちできないと思います。

トゥルの場合も同じです。現在、トゥルに関しては朝鮮が頂点にいるわけですが、その朝鮮の技をとことん研究しなければならない。相手を知って己を知ることです。朝鮮のトゥルがナンバーワンである理由を知ってこそ、自分が勝ちに行けます。

だから、朝鮮の試合に関しては、穴が開くほどビデオでチェックしました。そしてスロベニアで開催された前回の世界大会で彼らが勝利する理由をついに発見したんですよ。やっぱり生で6回も見てると分かってくるものがあります。生で1回見るのはビデオの50回分くらいには相当すると思います。

この二年間はその理由を練習に取り入れ、大会に臨みました。結果的に、自分の考えは間違ってなかったと確信しました。

勝利の理由とは何なのですか。

それは僕が現役を引退するまでの秘密です! 引退後なら、いくらでもお話しましょう(笑)。

グルメ店に代々伝わる秘伝のダシのように、公開不可能な部分なのですね(笑)。でもそこをなんとか!!

よく観察し、研究すれば、自ずと分かることです。答えは白帯でも十分理解できることだったりすることも多々あります。ときには習ってきたことと正反対のこともあります。でもこれに関しては、習ってきたことがしっかりと身に染みた後でないと逆に自分を崩すことになるでしょうね。
また、勝つためには何をしなければならないのか。
これは、昨年カンボジアに遠征したときに現地でテコンドーを普及されているリ・チョルナム師範がおっしゃっていた言葉ですが、ボクの心の琴線に触れる言葉でしたね。
テクニック、体力、戦術、自信、俯瞰する目、状況判断など、あらゆる要素が揃って初めて勝利は成り立つんです。これはマッソギに限ったことではなく、トゥルでも求められることだと思います。


探究心と成長

収穫が多かったカンボジア遠征。この地でテコンドーを普及しているリ・チョルナム師範に勝利のセオリーを学ぶ


カンボジアで密度が濃い練習を行い、成長した

ステップアップを求め、田中彰選手、姜昇利選手とともにカンボジア遠征にチャレンジし、有意義な時間を過ごす
 
カンボジアの師匠、リ・チョルナム師範と再会を果たす
(2009年10月 ロシア 第16回世界大会)

結束力の高さはピカイチだったJAPANチーム。団体トゥルでは素晴らしい試合を見せてくれた

セルフディフェンスの試合では、初出場とは思えない堂々たる内容を披露し、世界にインパクトを与えた

初出場の世界選手権では、トゥル1段の試合に出場

(2007年 スロベニア 第16回世界大会

その話は、柴田選手、田中彰選手、姜昇利選手の三人で昨年、カンボジア修業に行かれたときのことですね。三人ともに口を揃えて収穫の多かった遠征だったと話されていましたね。

そこで学んだことは大きかったですよ。密度が濃かった。やはり外へ出て新たなものを発見し、成長することってたくさんあるのだと思います。
当時、ボクの中には疑問符がたくさんあって、国際大会で海外選手たちの高度なパフォーマンスに刺激を受ける度に、自分もそのような試合ができないかという思いが芽生え、苛立ちを覚えていました。もちろん日本のテコンドーに絶対的な誇りと自信を持っていますが、日本が他国にはない強みを持っている代わりに、他国の選手は逆に日本にないものを持っていることを国際大会での経験を重ねるうちに感じてきました。
だから、両方の強みを身につければ、鬼に金棒です。世界の頂点も夢ではないと思っていました。

その後、日本と世界の違いを自分なりに探求し続け、その答えをやっと見つけたものの、まだ確信が持てない状態でいました。
それを試す場を求め、海外遠征を思い立ち、カンボジア遠征を敢行したのです。

その答えは正しかったのですか。

はい。自分なりに出していた答えは大方当たっていました。不足していたことで言えば、技術の違いばかりを探し、思考の違いという点には考えが及ばなかったことです。
たとえば、海外の選手たちは、勝つためには何をしなければならないのかという思考回路を元に、研究、戦術を立て、そのための練習を徹底しています。
だから、上位に残る選手には死角がないんですよ。


見つけた答えを今大会で形にすることはできたのですか。

トゥルに関しては、自分が信じてきたこと、取り組んでことをきっちり出し、結果を残せたと思います。
マッソギに関しては、反省材料が多いです。二年に一度の世界大会なので、慎重になりすぎるがあまり、チャンスをものにすることができませんでした。前回出場したアジア大会での反省を活かそうと、「明確な一本」を狙いすぎました。
ただし、自分の良い点、悪い点が明確に分かり、改めて気づいた改善点もあったので、収穫は大きかったと思います。
また、監督たちが話されていたように、スピード、パワーにおいて
日本は世界に通用するレベルにあることを確信し、自信を深めることができたのも自分にとってプラスの力となりました。


今大会では船水選手同様、日本選手として最多種目にエントリーされていますよね。そういう意味でお二人には敢闘賞を差し上げたい気分です(笑)。練習では、本当に頑張ってましたね。これは船水選手にもお伝えしましたが、JAPANチームの結束力、熱心に練習する姿には感服しました!

自分で言うのもなんですが、みんな忙しい中で時間をつくり、団体の練習、ルーティーンの練習を本当によく頑張ったと思います!特に悪役はどうしても派手に吹っ飛んだりする場面が多いので、きれいに受け身をしても痛いことは痛かったですよね(笑)。


柴田選手は今年4月から社会人になられたので、学生時代と違い、練習時間を作り出すのに苦労されたのではないでしょうか。

ボクを含め、みんな社会人のため、練習時間を調整するのに工夫が必要でした。
毎週日曜日に行われる強化練習終了後、夜10時まで残って団体トゥルの練習、メンバーの都合がいい日に合わせ、週一回ずつそれぞれ団体トゥル、ルーティーンの練習を終電まで行いました。
ボクと船水さんはどちらにもアサインされているので単純に練習日は多かったですね。
土曜日は自分が担当している取手道場の指導があるので、そのあと夕方からみんなで集まってこれまた終電まで団体の練習でした。
そこから終電で帰って翌朝から強化練習。
そんな日々でしたね。
仕事を含め、この半年間は超過密スケジュールでしたね。

その頑張りが試合に反映されたのですね。特に団体のトゥルは素晴らしい内容を見せてくれたと思います。チームワークが抜群でしたが、この練習期間、忘れられないエピソードなどはありますか。

たくさんありますが、特に心に残っているのは、日本出発前に行った最後の団体練習です。
その日は中野道場で練習したのですが、団体トゥルの練習終了後、みんなで道場近くの銭湯に行ったんです。
日本での練習がすべて終わり、やれることは全てやった気持ちから心が解放されてしまったのでしょうか。
あるいは本番に臨む昂揚した気持ちで弾けてしまったのか、もう何をやるにも楽しくて、楽しくて仕方ないんですよ。
銭湯の中で交わす言葉ひとつも、減量中にコーヒー牛乳を飲む行為さえも、些細なこと全てがハッピーな気分で格別でしたね(笑)。

■お話を聞いているだけでも皆さんの達成感が伝わります。それほどに、この半年の間、ハードスケジュールをこなしながら、集中力を維持し、練習に励まれたのですね。


上質の練習は裏切らない


第3回アジア大会トゥル1段に出場。団体トゥルでは準優勝、団体マッソギで3位に輝く(2006年11月 インド・ニューデリー)

JAPANチームの仲間として絆を深めた船水選手と共に
(2009年10月 ロシア 第16回世界大会)

第15回ピーターカップに出場(2007年12月 ロシア)

国際親善 中国北京大会に出場(2007年10月)

第20回全日本大会トゥル2段優勝。前大会の連覇(1段)に続き2段でも安定感抜群の試合を披露(2009年3月 東京)

第20回全日本大会ではマッソギマイクロ級二連覇を飾る

第5回ピーターカップ団体トゥルの試合模様(2007年12月)

国際大会に積極的に参加する柴田選手。写真は第4回アジア大会団体トゥルの試合模様(2008年4月 カザフスタン)

第16回世界大会トゥル2段で対戦したタジギスタンの選手(2回戦)と記念撮影(2009年10月 ロシア 第16回世界大会)

自らが創設した日大テコンドー部の後輩たちと記念撮影

黄帯時代の柴田選手。テコンドーの華麗な蹴りに憧れ、夢中で練習に励んだ青年が、やがて世界の舞台で活躍する

じつは柴田選手のインタビューは、この一年半の間で三度目になります。確率的にいいますと、これって凄いことなんですよね。それは、柴田選手の近年の活躍が目覚しいということを物語っています。率直に聞きますが、どうしたらそのように活躍できるのですか。

いや、嬉しいですね。たくさんクローズアップしてもらうことは単純に嬉しいものです。それもモチベーションのひとつになります。また、国際大会に積極的に出場したり、海外修業を行うことも刺激となり、モチベーションとなって練習内容、練習の質は明らかに変わると思います。

ボクはこれまで何事にも最善を尽くすことを人生のテーマに、努力してきたつもりです。ただ、テコンドーに出会ったとき、その幸運に感謝しました。これしか考えられないというものに出会えたわけですから。だから、自分の努力は努力の枠に当てはまらないんですよ。好きなことをしているだけですから。もう趣味を超えて完璧に生活の一部ですよね。一週間以上道衣を着ないと、もう気持ち悪くてしょうがない。だから長期の旅行は心から楽しめないんですから、ある意味不幸な人間です(笑)。それくらいいつもテコンドーが心の中に存在してます。それで上達しなかったら悲劇ですよね。

僕はいつも思うのですが、基本的に全ては「好きこそ物の上手なれ」ですよ。「下手の横好き」という言葉も存在しますが、このケースは滅多にない。そういった意味では上手くなるのは当然なわけです。

 それでもコツみたいなものはないですか。上達するコツです。

そうですね。よく考えながら練習することでしょうか。

練習って素直じゃないんですよね。結構勘違いしてる人が多いんですが、練習って平気で簡単に裏切ることもあるんですよ。

いくら練習しても、間違ったことをしていれば、全く成長は望めませんし、ときには逆走していて足を引っ張るときだってあります。当然ですよね、正しいこととは逆の方向に熱心に取り組んでいたら、熱心に逆効果がついてくるわけです。練習した、汗をかいたっていう達成感だけが心にのさばり、自分の成長について客観視できなくなるんですよ。それって、「量」に騙されているわけです。

ボクが指導するとき、練習生にもよく話すことなんですが、たとえ準備体操ひとつにしてもよく考えながら取り組むことを念押ししています。たとえば、アキレス腱を伸ばすストレッチをした場合、いまどこの筋や腱が伸縮しているのか、頭の中で考えながら行わなければならない。練習でやることはすべてに意味があるわけで、何も考えず、間違った動きをしていれば、それは全くもって時間の無駄というものですよ。

とにかく量より質なんです。たとえば、適当にミットを100本蹴るなら、本気で30本ミット蹴ってください。そして、そのあと70本適当に蹴ってる人を横目でみながらしっかり上質な睡眠を楽しんで下さい、って感じです(笑)。やみくもに行う練習は自分を裏切ることもあるが、上質の練習は必ずその分を応えてくれる。ときには何倍ものボーナスに変わって、返ってくることだってあります。これは自分が人と差をつけるために始めたときからそう意識をしてきて、その実体験による話なので、信じてください(笑)。とにかく、練習イコール「よく考えて練習すること」であって、それ以外は練習「のようなもの」以外のなにものでもありません。断言できます。

まさしく上質な練習が現在の柴田選手をつくり上げたのですね。そして自らの経験を踏まえ、後進の指導にも質のいい練習を徹底されている。

柴田選手は現在、取手道場の他に自らが創設した日大テコンドー部の監督を努められていますが、今回の活躍は部員たちにも大きな励みになるのではないでしょうか。

そうなれば嬉しいですね。今回の世界大会で吸収したことをこれから部員たちに伝えていきたいと思います。若い世代の役に立てば、これほど嬉しいことはないです。

これはボクの目標のひとつでもありますが、将来的には日大を押しも押されぬ国内最強の大学クラブに育て上げたいと思っています。

柴田選手の情熱と努力によってつくられた日大テコンドー部の成長に注目していますよ。

では最後に、世界大会インタビューシリーズの共通質問です。未来のチャンピオン目指す少年、少女たちに向けてメッセージをお願いします。

まずキッカケが親のススメであっても、やらされているという受け身の考えは捨て、まずテコンドーを好きになってください。

好きになれば、練習が楽しくなります。

練習が楽しくなれば、上手になりたいと思うはずです。

上手になりたいと思えば、必ず強くなれます。

いい流れのサイクルが生まれます。

あと、ボクの色帯時代を振り返ると、先生から10を聞いたら、10を覚えていました。
単純に、10聞いて5吸収する人より倍速で先へ進めると思っていましたから。
いやな奴ですよ、人と差をつけるにはどうしたらいいかなんて考えてる高校生、可愛くないですよね(笑)。
どんな些細な言葉でも、ポソっと言った言葉でも絶対覚えてます。そのポソっと言ったことが、じつはコツだったりすることもあるので、そんな小さなことを来週まで覚えてるか、覚えてないか。
その積み重ねが運命の分かれ目です。
ポソっと言う言葉はそう何度も言うようなことじゃないですから貴重なんです。
まぁ、そんなこと言いながら、道場だったり後輩たちには「10聞いたら1覚えて帰ればいい。
その積み重ねが〜」なんて言ってます(笑)。
もちろんそれって凄い大切なことなんですけど、でもやっぱりどう考えても10吸収した人の方が、伸びが早いのは日の目を見るより明らかですよ。
また、分からないことがあれば、先生にとことん聞きましたし、とことん自分から見てもらいました

先生の立場からしたらボクのような教え子、たまったものじゃないでしょう(笑)。
実際、当時のボクの執拗な質問攻撃は、戸島先生を困らせていました。当時の僕は戸島師範から質問小僧と呼ばれてましたから(笑)。
どんな些細なことも分からなければ聞いていたので、いつも決まって「自然にやればいいんだよ。自然と。」と言われてましたね。
だから今でも僕の道場の指導の時などは、基本的には自分から「見てあげるよ」とか「教えてあげるよ」だとかは決して言いません。本人が自分から積極的に来るまでは何もせずただ見守っています。たまにポツっとアドバイスするくらいです。
そのかわり自分から質問などをしてきたら期待以上のものを返してあげているつもりです。
だから少年少女はまず自分から積極的に先生をつかまえることですね。分からないことをわからないままにしない。
先生に個人的にみてもらってできないことをできるようにする。
そうやって1つ1つ問題をクリアにしていけば、はじめに言ったいい流れのサイクル、のその前段階である、「できるようになれば好きになる」に到達すると思うんですよ。
今もそうですが、当時のボクはテコンドーに夢中でしたから。テコンドーにかかわること、全てに興味がありました。

なにしろ、黄帯のときに「テコンドー総合本」を読破するほどです!

気づいたら、読みきってました(笑)

ちなみに僕のブログ「至誠たれば感天たり」というタイトルは総合本からとっています。

何かに夢中になる。ここにはとてつもないパワーが潜んでいます。これを感じている人はたくさんいると思います。僕の場合、その対象がテコンドーであったというだけのこと。また、夢中になる度合が人より大きかったというだけのこと。それとほんのちょっとの「練習の質を考える頭」です。

「夢中になること」を手に入れれば、世界チャンピオンだって夢ではありませんよ!


目指すは世界の頂点!二年後の世界大会に向け、心新たに再スタートを切った柴田選手
                     

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