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 第7回世界ベテラン大会特別企画
 
第7回世界ベテラン大会 MVPインタビュー 
後人の良い手本となりたい。支えてくれる人たちが原動力となって勝ち取った金メダル

第7回世界ベテラン選手権大会でにおいて日本代表団は素晴らしい快進撃を遂げた。金10個、銀3個、銅6個というメダルラッシュ。その輝かしい成果の立役者となったのが市川裕英選手である。
22歳でテコンドーに出会い、夢中となって内弟子志願。練習漬けの厳しい日々を乗り越え、着実に実力を積み上げていった。多くの出会い、経験の中で、テコンドーへの思いはさらに増し、現在は指導者という道を選んでテコンドー普及に情熱を注いでいる。
そして、テコンドー歴20年という節目の年に臨んだ大舞台で、最優秀選手賞という偉業を成し遂げた彼の姿は、「継続は力なり」という言葉の重みが実となって、後に続く人たちに希望と情熱を与えてくれたに違いない。。 

-大会を振り返って、印象的に残っている感想は
まず最初に印象に残っているのは、海外の選手の陽気さです。国際大会に慣れてるし、大会に参加する事を楽しんでいると感じます。
仲間達の応援にも気合いが入っていて、各国の応援合戦にすごい熱気を感じました!
そして、ベテラン選手にはフレンドリーな人たちが多いのも印象的でした。
会場の広さや大会の規模も印象的で、やはり世界大会はスケールが違う!と感じます。そんな環境で試合が出来るのが嬉しくて、ワクワクしました!
ベテラン大会は初めての出場になりますが、今までにも国際大会に参加した経験があったため落ち着いていられました。もちろん「勝ちたい!」と言うプレッシャーは感じてましたが、緊張で堅くなる感じはありませんでした。
また、今まで行った国に比べて、イタリアは環境も良く、ホテルも食事もよかったので、コンディションを作りやすかったのも良かったです。 

―マッソギ、トゥル優勝の瞬間、何を思いましたか。また、MVPを受賞したときの感想について 
マッソギ優勝の瞬間、今まで勝利したどの試合よりも嬉しかったです。
今まで練習して来た事を形にできたんだ!という達成感がありました。
試合の直後は、世界チャンピオンになれたんだ!と思うと色々と気持ちがこみ上げてきてしまい、涙が出そうになりました。そのためすぐには席に戻れず、気持ちが落ち着くまでコートサイドで、一人喜びを噛み締めていました(笑)
トゥル優勝の瞬間は、正直ほっとしました。決勝は岩崎選手との対戦だったのですが、相手は意識せず、自分のトゥルを精一杯やりました。判定の瞬間はマッソギ以上にドキドキして、自分にあがってくれ!と心の中で思いました。優勝できて素直にうれしいです。
MVPで自分の名前が呼ばれたときは、カラダが熱くなりました!
そして周りのみんなもMVPだ!と喜んでくれ、表彰台に登り、トロフィーを受け取ってから実感がわいてきて、表彰台の上で、思わず「やったぞー!!」と叫んでしまいました。今考えると恥ずかしいですね(笑)。
テコンドーを始めて20年、節目となる年に最高の結果を出せたことがとても嬉しいです! 

―試合を振り返り、自己分析、評価(トゥル、マッソギ)
トゥルに関しては、相手に合わせるのではなく、自分との戦いだと思うので、まずミスをしない事を第一に考え、細かいところは練習してきた自分の力を信じて、試合本番ではあまり意識しませんでした。そして、カラダの大きく力強い海外選手に迫力負けしない事を意識して、力強く行いました。
特に団体トゥルは、いつも以上に声を出し、力を入れて動作をしたので、硬くなったかもしれませんが、力を出しきれたと思います。
ちなみに、一番緊張したのは個人戦の準決勝です!指定で苦手なトゥルが出たので、すごく慎重に動作をしました(笑)
マッソギは相手を良く見て出来たと思います。
シニアよりも時間が短いので、スタミナ的な不安はまったくなかったので、あとは集中力の問題!と、そう考えていました。
どんなに上手な選手でも、集中できてないと勝てません。ポイントをとった後も集中力をなくしたら取り返されてしまいます。
今回、準決勝はポイントでリードされていたのですが、あせることなく冷静でいられたので、最後の最後にチャンスをみつけ、取り返す事ができたので、ギリギリのところで勝てました。
決勝の相手は大きい選手でした。本当に−64kg?と疑うような身長で、どう戦おうか考えたのですが、最初に距離をとって様子を見てしまうと相手にペースをとられてしまいそうなので、まず思い切り行ってペースをとろう!と考え、試合開始すぐに、相手のスキをついてパンチで攻め込みました!その結果、相手はバランスを崩し転倒し、自分のペースに持ち込むことが出来ました!そうして主導権をにぎれた後は良くみて戦い、最後まで落ち着いてできたと思います。
トゥルもマッソギも集中力を第一に考えたので、冷静に試合を運ぶことができました。その点ではイメージ通りに出来たと思います。

―世界ベテラン大会に出場しようと思ったキッカケ
2014年の第25回全日本大会で、全日本への挑戦が終わりました。
40
歳になるこの年、まだまだ出来る!戦える!と言う気持ちが大きく、もっと戦う舞台が欲しいと思っていました。
そのときベテラン大会と言う選択肢をみつけ、戦場がシニアからベテランに変わったのです。
全日本では1番になれなかったのですが、ベテラン大会で必ず1番になる!そう思い、ベテラン大会への挑戦を決意しました。
そして2014年は丁度ベテラン大会が開催される年だったので、早速ベテラン大会に挑戦できるかもしれない!と思ったのですが、残念ながら大会の日が誕生日前のため出場できず、2016年のベテラン大会を目標として、2年間気持ちを切らさないように意識して、準備をしてきました。

―掲げた目標
もちろん優勝です!世界チャンピオンです!
トゥルだけでも、マッソギだけでもなく、両方で優勝することを目標にしました。
世界ベテラン大会への参加は初めてだったのですが、最初で最後の挑戦だ!この1回のチャンスをものにするぞ!そういう気持ちで挑みました。
負けても次の大会がんばろう!と言う気持ちではだめだったんです!
自分なりに「後ろはない、背水の陣」と考ていました(笑)
そして、妻の厚子と一緒に出場し、夫婦で世界チャンピオンになることも意識していました! 

―目標に対して積極的に取り組んだ練習内容 
マッソギに関しては、自分がマッソギをする上で良く使用する技、得意な技、有効な攻め方、カウンターなどをまず書き出し、どれが有効か、ポイントが取れるか考え、その中からピックアップした技を徹底的に反復しました。

そうして自分の武器を磨きつつ、自分のウィークポイントは何かと考えたとき、距離への意識やガードなどが思い浮かんだんです。でも、それらはすべて集中力次第だと思ったので、とにかく集中すること!相手を良く見て、集中力を切らさない事を念頭において練習をしました。
しかし、なかなか試合と同じような強度でマッソギの練習をする機会は少ないので、イメージトレーニングが中心になっていたと思います。
トゥルは、試合に向けて細部までこだわって練習をしてきました。
日本には4段のシニア世界チャンピオンである姜昇利選手がいるので、何度も動作をみて、時に質問をさせてもらいながら、細かいところまで参考にさせてもらいました。
ここまで細かくトゥルを練習したことはなかったかもしれません。
フォームはもちろんですが、腕の出し方、蹴りの引き方、そういったところまで気を配りました。そうやって、今まで見落としてきたところを改善していくことで、改めてトゥルの奥深さを感じました。
そしてトゥルもマッソギも、自分の試合や練習の動画を何度も見直して、良い点は伸ばし、悪い点は改善していけるようにしました。 

―目標を達成した今、次に目指すものは
正直、すぐには思い浮かびませんでした。そのくらい今回の大会にかけてたので・・。
でも、最近心境の変化がありました。先日自宅で古いテコンドーのビデオを整理してたのですが、久しぶりに昔の全日本大会のビデオを見ました。そこでは黄秀一師賢や厳斗一師範、朴ソンファ師範が選手ととして出場していました。
レジェンドの方々のマッソギを見ていて、自分なんてまだまだだな!って思ったんです。
そのとき、もやもやしてた気持ちが晴れ、もっと練習したい!もっと試合に出たい!って思ったんです。
なので、次の目標はまずカラダ作り!そして技術の向上!それが出来た上で2年後のベテラン大会に再度挑戦したいと思います! 

―これまでの競技生活の中で最も影響を受けた選手は?
参考にさせてもらった選手、尊敬するスポーツ選手はたくさんいるのですが、中でも田中彰選手からの影響は大きいと思います。
田中選手とは内弟子の先輩後輩として出会い、その後よく一緒に練習をしました。
田中選手は国際大会の経験も豊富で、海外の選手はこんな動きをする、こんなテクニックを持っていると、大会で経験した事を色々と聞かせてくれ、試合などでも実際に用いていました。
そんな彼の動きを追うことで、海外選手の動きを学んだところは大きいです。
そして自分の全日本最後の試合の相手が田中選手でした。
準決勝で対戦し、延長の末負けてしまいました。今でもあの試合は悔しく思います。
でも、そこで負けた事は、ベテラン大会への肥やしになったのは間違いありません。
海外のテコンドー選手では、ステファンタピラート選手とトマスバラダ選手の技にあこがれ、モランボンカップなどの古い映像を何度も見て、まねをしました(笑)
また、テコンドーとはまったく関係ありませんが、メジャーリーグのイチロー選手です。
野球はあまり詳しくないのですが、イチロー選手のカラダへの意識の高さ、ストイックさに感銘をうけ、尊敬しております。
ベテランとなった今、自分もそうありたい!と思うようになりました。

―これまでの競技生活を通して悟ったものは
自分が競技に出場する事で、テコンドーの仲間や後輩、教え子たちへの良い手本となりたい!そう考ています。また、逆に教え子たちが見てる!そう思うと良いところを見せてあげたいので、がんばる事ができます!
そして応援してくれる仲間たち、指導してくださった先生方がいて今の自分があります。指導者となった今は特に感じるのですが、競技に出ると言うことは自分のためだけではないと言う事ですね!
そして、やはり競技は楽しいです。目標があるから練習をする、行動につながるので、競技にかかわらず、常に目標をもってやらないと、無為に時間をすごしてしまいがちです。
なので、今後競技者をやめたとしても、自分は常に大きな目標、小さな目標をたくさん持ち、ひとつひとつ達成していけるようにしたいと思っています。  

―現役を維持するために日頃心がけていることは
一番意識してるのは体重のキープです。自分は毎日体重計にのります。トイレに行くたびに量るので、1日に多い時は10回くらい量ってるんじゃないでしょうか?(笑)
そのくらい体重の変化に気を使ってます。寝る前と朝起きたときの体重から、食事する前、食事後、入浴前と入浴後など、体重の変化をいつも気にしてるので、何をしたらどのくらい増えるか、または減るのか、だいたい分かります。
よし試合に出よう!と思ってからカラダ作りをするのではなく、いつでもスタート地点にいれるように気をつけています。
そして毎日のストレッチとマッサージです。
試合に向けての半年は、毎日お風呂でハムストリングやふくらはぎのマッサージをし、出てからは30分〜1時間ほどストレッチをしていました。
そうする事でなるべく練習後の疲労を残さず、常にコンディションを維持することを心がけました。若い頃には出来ていなかった事です。
あとは大きなケガ、病気をしないことです。
病気はどうにもならない事もありますが、出来るだけの予防はするようにし、体調管理に気をつかっています。
ここ数年で食べ物や飲み物には本当に気を使うようになり、お酒もまったく飲まなく(飲めなく)なりました(笑)

―感謝している存在は
一緒にイタリアにいった選手団の皆さん、世界大会に向けて応援してくれた仲間たち、ここでは挙げきれないほど多くの人に感謝をしておりますが、なかでも師匠である黄秀一師賢に感謝しております。
荒川道場に入門し、最初にテコンドーを教えていただいたのは黄秀一師賢で、入門初日から怒られてしまい、なんて厳しい先生だと思いました。
弟子に行ったときも、黄秀一師賢にじっくり指導して頂きました。

また、全日本大会デビュー戦の対戦相手が黄秀一師賢でした!全日本の洗礼をあびた気分です(笑)
その後も、指導者として、選手として、そばで色々な事を学ばせていただきました。
良い師匠に巡り会えたことが、自分が今でもテコンドーを続けていられる一番の要因だと思います。
次に、今回の世界大会に向けて、ずっとカラダのケアをしてくださった、かもめ治療院の森山先生。森山先生には、今回の世界大会にむけて、週12のペースでずーっとカラダのケアをしていただきました。
毎週の強化練習でくたくたになったカラダを、森山先生にケアしてもらうことで、また次の1週間がんばる事ができました!
また、練習で調子を崩したとき、日曜日でお休みにもかかわらず治療してくださるなど、本当にお世話になりました。
森山先生のご協力がなかったら、大会で良いパフォーマンスは発揮できなかったと思います。最後に、支えてくれる妻、市川厚子です。
普段から道場の指導なども手伝ってくれ、また練習相手にもなってくれる。なかなかそんな妻はいないと思います。本人には普段あまり言いませんが、とても感謝しています。

―どんな指導者でありたいか
自分はあまり厳しいタイプではないので、ときに保護者の方から厳しくお願いしますと言われることもあります。
でも、厳しくするってどうゆう事でしょうか?怒鳴りつけたり、無理矢理やらせる事じゃないと自分は思っています。怒ったり、怒鳴ったりしてやらせるのは簡単ですが、納得してやるわけではないので、どこかに反感が生まれます。自分も人なので感情的になる事はありますが、そこであえて落ち着いて諭せるような、そんな指導者でありたいです!
技術的な面では、一人一人の個性に合わせて長所を伸ばしてあげるような、そんな指導を心がけています。カラダの堅い人に、やわらかい人と同じように蹴らせるのではなく、工夫を教えてあげたいと考ています。
そして大人でも子どもでも、一度決めた目標はやりとげるように!達成するために努力する!そういった事を伝えていきたいです。 

―市川選手にとってテコンドーとは
最初は仕事をしながら、カラダを鍛えるためにはじめましたが、良い先輩たちに恵まれ、テコンドーに没頭していき、内弟子となり、指導者となり、道場を任され、今は自分の生活の中心にテコンドーがあります。
なので、テコンドーは自分の生き方そのものとなりました。

―将来のプラン、夢
今の目標は、自分が指導する烏山道場、吉祥寺道場を盛り上げることです。
ゆくゆくは烏山や吉祥寺で公式大会を開催できるくらいにしたいですね!
また、いつかは夢の常設道場をオープンすることです!
世田谷や吉祥寺など、都内で常設道場はハードルが高いかもしれませんが、実現できるようにがんばります!
そして後輩や道場生から、未来のチャンピオンが生まれるように、今後もテコンドーの指導をしていきたいと思います!

 




 
2000年 東京都大会 内弟子時代

2000年3月 協会内弟子 卒業式

2013年1月 昇段審査
4段・師範に任命 師である黄秀一師賢と

仲間でありライバルでもある田中彰師範と
第25回全日本大会にて

世界ベテラン大会 報告 少年部たちと

未来のチャンピオンたちと
 
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